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No.206  鳥海 隆(とりうみ たかし)

荒川区商店街連合会 会長
親交睦商店街振興組合 理事長

荒川区商店街の温かさを 守り続けてきた立役者

まさに荒川区商店街の〝父親〟 みんなに親しまれる連合会会長

▲現在の店舗を建築中の様子
(昭和30年頃)

大型スーパーやショッピングモールなどが増加している昨今、荒川区の商店街は、どこも「温かい」「人情味に溢れている」など評判が高く、いつも人々の笑顔に満ちています。こうした〝温かな商店街〟の姿を守り続けるために、長きにわたって尽力してきたのが、荒川区商店街連合会の会長・鳥海隆さんです。
大正12年1月1日生まれの鳥海さんは、今年で87歳。荒川区商店街連合会の会長を平成3年から務めており、連合会の会員から絶大な信頼を受け、親しまれています。まさに荒川区の商店街の〝父親〟のような存在です。鳥海さんは、他にも社団法人荒川法人会会長や東京都商店街連合会副会長、東京荒川ライオンズクラブ会長などを務めており、さまざまな貢献により、旭日双光章受章(平成15年)など、数多くの顕彰を受けています。鳥海さんの、荒川区のために力を注いできた功績がよく分かります。
そんな鳥海さんですが、6歳の時にお父様を亡くし、家計を支えるため菓子作りの弟子入りをしたこともあったそうです。
その後、徴兵され、岩手県の兵舎で終戦を迎えました。東京に戻り爆撃で焼け野原の中から体ひとつで商売を興し、何度か商売を変えながら、現在も商店経営を続けています。鳥海さんの、地域への愛情やまわりの方々への深い感謝は、このようなご苦労が人となりの礎にあるからでしょう。

鳥海さんのもとで一丸となり、 商店街活性化に向けて邁進

「大型スーパーなどは確かに便利ですが、お年寄りや身体が不自由な方々にとっては、そこまで買い物に出向くのはやはり大変です。身近な商店街はそうした方々にとって強い味方であり、さらに荒川区商店街連合会の提案で店舗の方々に手話や筆談を指導したり、外出が困難なお年寄りなどに注文した商品を配達するなど、利用者がより買い物をしやすくなる工夫を凝らしています。」また、鳥海さんは昔から「商店街が地域のコミュニティの中心になろう」と各商店街に熱心に呼びかけています。これは、児童に危険が及んだ際の駆け込み場所に商店街がなるなど、地域の安心・安全に繋がるからです。
そして、「他地域からの転入してきた新しい住民にも地域を身近に感じてもらおうと、各商店街で、盆踊りや阿波踊り、サンバカーニバル、縁日といった数々のお祭りイベントを実施しています。ここでも工夫を凝らして、『新住民のみなさんにイベント運営に参加していただきたい』と提案しています。」地域イベントに気軽に参加できる場を商店街が率先して作り、そこに新住民の方々も加わって、一緒に地域を盛り上げてもらう・・・。そんな素敵な〝地域密着〟の試みを実践しています。
これらの商店街活性化の提案の例を見ると、商店街でお金を使ってもらうことよりも、「地域の人々の温かな繋がり」を第一に考えていることが伝わってきます。これこそが、鳥海さんが昔から大切にしてきたこと。「人の温かさと、人の輪による和みが、商店街の良さ。みんなが楽しく、心からホッとできる商店街であり続けたいですね」と、鳥海さんは笑顔で語ります。
こうした鳥海さんの思いが連合会の隅々にまで浸透しているのは、鳥海さんの人柄に他なりません。「今の自分があるのは、荒川区商店街連合会をはじめとする周りのみなさんのおかげ。この幸せに、本当に感謝しています」と鳥海さん。
そんな鳥海さんについて、荒川区商店街連合会の会員の方によると「鳥海さんには、商店街のみんなが本当にお世話になっています。鳥海さんは、裏表なく、どんな人にも同じように接してくれます。そして損得なく、いつも周りが良くなるように気を遣い、力を尽くしてくれます。」
鳥海さんが信念にもしている感謝の思いは、連合会のみなさんに伝わり、それが輪になって繋がっています。
そんな素敵な〝幸せの輪〟があるからこそ、荒川区商店街連合会は鳥海さんのもとで一丸となり、活性化に向けて邁進できるのです。だからこそ、荒川区の商店街はいつも地域の人々の笑顔に溢れているのではないでしょうか。