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No.170  は・や・と 金刺敬大、凌大、由大

『は・や・と』というユニット名は、"囃(はや)す人"という意味でもあり、また日本で最も古い芸能事の一つである「隼人舞」の隼人でもあり、薩摩隼人の男らしさをあらわしたユニット名

日本人の心に響く和太鼓・三兄弟ユニット

ムーブ町屋の4階にあるスタジオに力強い和太鼓の音が響く。忘れかけていた日本人の心を呼び覚ますようなリズム。ライブ演奏のための練習とは思えない真剣さと緊張感が伝わる。

演奏しているのは、金刺敬大(かなざしけいた)24歳、凌大(りょうた)22歳、由大(ゆうた)19歳の三兄弟、きりりとした男前の和太鼓ユニット「は・や・と」である。


長男 金刺敬大(カナザシ ケイタ)

次男 金刺凌大(カナザシ リョウタ)

三男 金刺由大(カナザシ ユウタ)

しなやかな感性、しきたりにとらわれない自由な演奏

西日暮里生まれ、ひぐらし小学校の時から地元の太鼓会で和太鼓を習い、学生時代から祭礼、イベントなどを中心に数多くの舞台に出演。平成11年、和太鼓集団「乱打夢」の創設メンバーとなり、平成13年に兄弟ユニットを結成。凌大が大学を、由大が高校を卒業後、プロとして本格的に活動を始めた。主に日暮里・邦楽ジャーナル倶楽部「和音」での定期演奏ライブを中心に、昨年は大阪、神戸、長野、横浜などでもライブを行い、全国に活動の場を広げている。

しなやかな感性、兄弟ならではの息のあった演奏、日本舞踊をベースにオリジナル和太鼓、轡(くつわ)太鼓を使い、打ちながら歌い踊る躍動感あふれるステージは、聴く人々をたちまちのうちに引き付け、魅了する。彼らの活躍はNHKテレビ「首都圏ネットワーク 夢をかなえるために~若者たちの熱い思い~」でも紹介された。

今風の若者らしさとプロならではの真剣なまなざし

「最初は若いのに和太鼓を演奏していると周りの人たちに言うのが恥ずかしくて...」という彼らのはにかんだ笑顔は、現代の若者と変わらない。それでも和太鼓の魅力を語る彼らのひたむきでまじめな姿はプロならではのもの。

「和太鼓の魅力は聴いた人が興奮せずにはいられない、体に響く音。太鼓に音階はないけれど、たたき方の強さや、バチの当て方によってさまざまな音が出るし、自分の気持ちが表現できる。すごく奥の深い楽器だと思う」(敬大)

「小学校の時からやっていて、今は体の一部みたいなもの。寝ていても、食事をしていても、車を運転していても自然に太鼓のリズムをとっている(笑)」(凌大)

「最初は兄につられてやってた(笑)。正直、大学に進学するか迷った時期もあったけれど、最後にはこれ(和太鼓)一本でやっていく決断をするだけの魅力があった」(由大)

若者にも和楽器の魅力を知ってもらいたい

生活も練習も演奏活動もほとんど3人いっしょ。芸の幅を広げるために日本舞踊や歌舞伎囃子(ばやし)を習い、演劇系のワークショップにも意欲的に参加する。常にプロとしての技術の向上を考えて、ほかの若い邦楽演奏家らとも交流し、これぞと思った名演奏家の技は、逃さず盗んで芸に磨きをかける。

新年を迎え、「兄弟だからこそできる呼吸があるんです。3が10にさらに100になるような広がりのある演奏ができればいいと思います。と同時に兄弟それぞれの実力に磨きをかけて、オリジナリティーが出せるようにソロ活動にもチャレンジしたい。若い僕らが演奏することで、同年代の人たちに和太鼓の魅力を伝えていきたいですね。今年は世界を目指します!」と抱負を語る。

自分たちで作曲した曲を中心にオリジナルが40曲。隔月に開かれる自主公演では必ず新作を発表する。ライブに訪れた観客は、前回よりも、今回、今回よりもさらに次回、日々プロとして成長していく「は・や・と」に熱い視線を注いでいる。

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