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No.71  武蔵川 晃偉(むさしがわ あきひで)

「方角がよく」移転後好調
近代的トレーニングも取入れ

11月6日から大相撲九州場所。若貴と並び大きな夢に挑戦する大関武蔵丸、先場所13勝2敗の準優勝で、成績次第では大関への声もかかりそうな関脇武双山の活躍をファンは待ち望んでいます。東日暮里4丁目の武蔵川部屋で、忙しい中インタビューに応じた親方も「大いに期待してます」と、にこやかに語りました。

親方は三重県松阪市出身、昭和38年初土俵、44年秋場所入幕。優勝3回、殊勲賞5回、敢闘賞1回、技能賞3回。50年九州揚所、関脇で初優勝。54年秋場所横綱に昇進。同年九州揚所、55年初揚所と連続優勝を果たしました。55年引退、年寄・山科から武蔵川を襲名。56年出羽海部屋より独立して武蔵川部屋創立。現在は巡業部副部長。46歳。

─九州場所が待ち遠しいですね。

「武蔵丸は一度綱とりに失敗しましたが、今後二場所頑張ればいいので、失敗の経験を生かして次のチャンスにかけて欲しい。強烈な突っ張りは威力があるし、自分の相撲を取り切るようアドバイスしてます」

─息子さんの石山も序二段で5勝2敗でしたね。

「ええ。今百枚目ちょっとで、大分上がるでしょう。実は中学2年まで背も低く、本人も相撲には興味がないようでしたが、高校2年の時、急に背が伸び、体重も増えて相撲をやる決心をしたので、やらせることにしました」

─親方も最初は背が足りなかったそうですね。

「新弟子検査で背伸びしたりしてやっと入門しましたが、入ってから10㌢伸びました。まあ息子は大器晩成型かも知れない」

─ところで荒川に来られて5年ですね。

「平成元年12月に来て5年目ですね。人数も20人だったが今は30人。大関を含め関取も出ていいことばかり。部屋を建てた方角がよかったのかと思ってます」
─地元との交流も活発のようですが。

「地元後援会の葵会にも、温かい応援をして頂いてます。部屋のけいこは、近所の相撲好きな人がのぞいていくこともあります。力士の老人ホーム訪問、保育園、幼椎園などの餅つき、献皿運動にも協力しました。また荒川はわんばぱく相撲が盛んなので、地方場所や巡業で土俵が空いている時は、土曜日などに残り番力士もお手伝いして青年会議所の指導で使ってもらってます」

─サニーホールの日暮里寄席に出演したポール牧さんとも親しいとか。

「彼がラッキーセブン時代からのつき合いで、千秋楽後よく飲んだりしてました。東京後援会の幹事もしてくれてますし、前に葵会が、揚所の打ち上げを部屋でしていたころは、司会もしてもらいました。公演の折にはこちらから訪ねたりしてます」

─地下一階の筋力トレーニングルームは、相撲部屋では珍しいですね。

「ケガの時などなにもしないのでは因るし、そうでなくとも少しでもプラスになるよう考えました。筑波大学の専門家にお願いして、一人一人のメニューを作成、週2、3回午後4~6時にやってます」

─区の出身力士は。

「堂堂山を改名した幕下の荒ノ波と序二段の村林がいます。村林は腰をケガしてリハビリ中。荒ノ波は荒川から一字取ったこともあり頑張ってもらわないと…」

─武蔵丸が優勝したらぜひ日暮里までパレードをというのが区民の願いですが。

「地方揚所ではだめですが、来年は東京で実現してご期待にお応えしたいですね」

文・真下 孝雄
カメラ・水谷 昭士