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No.213  櫻井 善忠(さくらい よしただ)

50年以上、歯科医療と 荒川区の発展に大きく貢献

櫻井 善忠昭和10年に荒川区で生まれ、荒川区歯科医師会初代会長も務めた父の後を継いで歯科医師として開業。以来、櫻井善忠さんは50年以上にわたり、荒川区をはじめ東京の歯科医療の発展に大きく貢献してきました。
その数々の活躍のなかでも特筆すべきは、歯科衛生士だけを専門に養成する、全国でも稀少な専門学校「太陽歯科衛生士専門学校」の設立です。同校は、昭和54年に開校(当時の名称は「太陽歯科衛生士学院」)。
「最初は開校の手伝いとの認識で引き受けたのですが、結局私がメインで動き回りました(笑)。でも、当時から歯科衛生士の不足は問題となっていました。 また私は臨床歯科医師として来院する患者さんへの歯科医療サービスという個人的使命とともに、主として地域を対象にした歯科保健活動の〝社会的使命〟も大 切にしたいと昔から感じていました。
荒川区の学校歯科保健にも積極的に参加してきました。また、診察室を離れて「母親学級」や保健所などで歯科衛生の講演をさせていただくと、真剣に私の話 を聴かれるみなさんの熱意にはとても刺激を受け、同時に歯科医師として大きなやりがいを感じていました。ですので太陽歯科衛生士専門学校の開校、現在に至 る約30年の運営は、確かに苦労もありましたが(笑)、荒川区の歯科保健活動に貢献できたことを何より嬉しく思っています」
櫻井さんが理事長・学校長を務める同校は、2010年に、交通の便が良い日暮里駅前校舎に移転、さらに夜間部も始まりました。歯科衛生士不足が続く歯科 医療界では、専門学校の夜間部設置が要望されていたのです。同校の夜間部には早くも熱心な方々が多く集まり、日々勉強に励んでいます。
櫻井さんは、これまで同校の理事長・学校長の他に、、荒川区教育委員長、荒川区歯科医師会会長など、さまざまな重要な役職を担ってきました。なんと15 もの役職を兼任されていた時期もあったそうです。もちろん、櫻井さんの人柄、経験、手腕などを買われてのことですが、なかには未経験のこと、自信が持てな いこともあったそうです。でも櫻井さんは、こう強く語ります。
「頼まれたら、できる限り前向きに考えて引き受けてきました。私は、自分の特長や能力はまわりの人が決めるのであって、たとえ自信がなくても引き受けて から精一杯努力すれば、それが成果となって結果に繋がっていくものだと信じています。私のもとに来た仕事は、おしつけられたものではなく、『これを勉強し なさい』といった運命のようなもので、自分にとって必ずプラスになることだと思っています」
また櫻井さんは、「荒川四丁目西仲睦会」の町会長も務めています。町会長も初めての経験でしたが、持ち前の前向き思考で、学校・家庭・地域の連携をさら に強めたり、若い人が活動しやすいように配慮したりと、町会の改革者として大活躍しています。

〝心の健康つくり〟が 幸福の実感に繋がる

現在、荒川区では区民一人ひとりが幸福を実感できる街を目指して、一般財団法人荒川区自治総合研究所を設立し、「荒川区民総幸福度(GAH)の研究」を行っ ています。多くの学識経験者の方々が参画しておりますが、櫻井さんも評議員として活躍されています。櫻井さんは、〝心の健康つくり〟が幸福の実感に繋がる と語ります。
「幸福は、自分から感じようとしなければ、感じられません。心が不健康では、幸福を投げかけられても、受けとめることができないのです。幸福を感じるに は、心に感動・感激・感謝の栄養を与えることが一番。日頃からの『ありがとう』の気持ちであったり、感激しやすいように心の感度を高めることであったり、 不平・不満・愚痴を持たないように心掛けたり・・・。 そんな〝心の健康〟を保つことこそが、幸福実感の感受性を高めます。荒川区は、行政サイドから、有形無形の区民の幸福を支援する政策や施策を次々と提示・ 実践してきています。それを受けとめる我々区民も、心の健康つくりに努め、一人でも多く幸福を実感しやすい個人になることを願っています」
櫻井さんの幸福実感の観点は、受けとめる区民に向けた、実に興味深いものでした。そこには櫻井さんの荒川区民への温かな〝思いやり〟の気持ちが、ヒシヒシと伝わってきます。