技と心が一体となった詩吟を、 これからも追求していきたい。 |
武島さんの母親は、吟詠家の高橋鳳頌さん。そのため、学生時代から詩吟の世界がごく身近にあった。
「詩吟を始めたのは、20歳からです。20歳の女の子に詩吟はやっぱり難しく、最初はよく分からないから漠然と歌っていた、というのが本音ですね(笑)。でも、もともと歌うことがすごく好きだったので、少しずつ馴染むことができました。母が日課のように、朝から詩吟の声を出していたも効果があったと思いますよ(笑)」
それからは、劇団時代に出会った作曲家の曽根幸明氏に歌唱指導を受けた。しばらくして母親も師事する吟詠家の小林鳳風氏が日本詩吟文化学院を創設し、武島さんは同院に所属。鳳風流の吟詠家として、さらに修行に励んでいく。平成13年には荒川区の老人福祉センターの朗読教室の講師となり、今度は教える側に立った。これが、武島さんの詩吟と朗読への気持ちをより強くした。
「人に教えることで、詩吟への責任感を強く感じ、もっともっと懸命に"詩吟の世界に踏み込みたい"と思うようになりました。教室のみなさんのおかげで、詩吟と向き合ったときの初心に戻ることができ、気持ちがとても強くなりました。また、教室を卒業したみなさんが新たに朗読のサークルをふたつも立ち上げて、私を先生として呼んでくださって・・・。とっても感謝しています」
今後は、「若い人たちにも興味を持ってもらえるような"開けた詩吟"も開拓していきたい」と語る。現在、日本詩吟文化学院三代目学院長である武島さんは、詩吟の未来もしっかりと見つめていた。武島さんの手によって、詩吟の世界に新しい道が開けることを期待したい。