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No.190  吉田 直樹(よしだ なおき)

“日本一”達成後も、より上を目指して切磋琢磨
アメフトに賭ける気持ちはプレー同様に力強い

アメリカンフットボールの花形といえば、オフェンスの司令塔・クォーターバック、タッチダウン目指して疾走するランニングバック、ロングパスも鮮やかにキャッチするワイドレシーバーなどが挙げられる。しかし、相手オフェンスの戦術をいち早く察知して攻撃を防ぐ、屈強で巧みなディフェンスが機能して、初めてチームに勝利が訪れる。ディフェンスは、まさにチームの“縁の下の力持ち”なのだ。吉田直樹さんは、日本屈指のクラブチーム「オンワードスカイラークス」で、ディフェンスエンドを担うアメフト選手。所属2年目のルーキーながら、チームに欠かせないキープレーヤーだ。

学生時代から抱き続けた“日本一”の夢をついに叶える

西日暮里で生まれ育ち、現在も暮らしている吉田さんが、アメフトを始めたのは大学生から。中・高校ではバスケ部に所属していた。「高校のバスケ部は結束力がとても強く、全国大会にも出場できたのですが、勝ち進めなくて。それからですね、『大舞台で活躍したい!』『日本一になりたい!』と強く思うようになったのは。」その想いを実現するべく、東海大学で、小さい頃から興味のあったアメフトを始める。「アメフトは見た目のカッコよさにも惹かれましたが(笑)、より本気で打ち込める、自分にとっての最高のスポーツでした」。
大学卒業後は同じリーグの実業団チームに所属するが、実業団では当然仕事もこなさねばならず、アメフト一色というわけにはいかない。また吉田さんは昔からスポーツ関係の仕事に就きたいという想いもあり、悩んだ末に「もっとアメフトに集中できる環境を」と、現在のクラブチーム、オンワードスカイラークスに移ることを決意した。「スカイラークスは、NFLヨーロッパで活躍する選手も多く、自分の夢である日本一を狙えるチーム。ココしかない、と思いました」。
スカイラークスでは必死にトレーニングし、180cm・90kgとディフェンスラインの中では一番小さいながらも試合出場を重ね、スピードとクイックネスを生かした。“吉田流ディフェンス”を磨き上げていった。
そして2007年1月3日。スカイラークスは、アメフトの日本選手権試合“ライスボウル”で強敵の「法政大学トマホークス」を1点差で退け、見事日本一に輝いた。吉田さんもディフェンスエンドとして出場しており、チームの勝利に大きく貢献。学生時代から抱いていた“大舞台”で、“日本一”の夢は、ついに現実となった。感想を聞くと、「法政大学のオフェンスは本当に強く、苦しい戦いでした。でも接戦を制し、最後まで諦めない戦いをできたことはチームにとって良い経験。今後に繋げていきたいですね」と、日本一の喜びもあるだろうが、それよりもっと上を目指そうとする力強い答えが返ってきた。そんな常に切磋琢磨する気持ちが、吉田さんならではの持ち味なのだろう。
吉田さんは、このライスボウルでの活躍を評価され、平成18年度荒川区教育委員会教育褒賞を授与された。「(褒賞をいただいたのは)感激と、ビックリでしたね。自分が直接知らない方々が、自分のプレーを見てくれていたことが何よりウレシイです」と笑顔でコメント。これも先述した“大舞台”で“日本一”を成し遂げた賜物と言えるだろう。

教え子の後輩と、将来一緒にプレーできたら最高ですね!

現在、吉田さんはスカイラークスの一員として日々の練習を続けながら、「アメフトはまだ日本では全然メジャーじゃありませんからね。競技人口を増やして、後輩たちがアメフトを楽しみやすい環境を作ってあげたくて」との想いから、東海大付属高輪高校のアメフト部でコーチもしている。後輩たちとの練習は、アメフトを始めた頃の気持ちに戻ることができ、良い刺激になるのだとか。
「今後の目標は、チームの日本一連覇、それと4年後のワールドカップに日本代表選手として出場することですね。それには、もっともっと頑張らないと。遠い目標は、教え子の後輩と、クラブチームで一緒にプレーすること。実現したら、最高にウレシイですね(笑)」。