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No.189  京當 侑一籠(きょうとう ゆういちろう)

芸術性豊かなダンスール・ノーブルを目指して

「今も荒川の自宅からレッスンに通っています」と京當さん。
※「ロメオとジュリエット」公演のお問合せは牧阿佐美バレヱ団 3360-8251まで

京當侑一籠さん(27歳)は、荒川生まれの荒川育ち。182センチ、66キロというプロポーションに恵まれ、王子様役などの主役をこなす牧阿佐美バレヱ団のホープだ。

17歳で牧阿佐美バレヱ団に

肩の力を抜いて自然体で話す京當さん
京當さんがバレエの世界に入ったのは、小学校3年生(8歳)のときだ。
「映画の『コーラス・ライン』がきっかけです。スクリーンの中で、足を上げたり、帽子を持って踊るのがかっこよかった。『あんなふうになりたい』と、母に言ったら、『じゃあ、妹と一緒にバレエを習ってみたら』とアドバイスしてくれたのです」
約20人のレッスン生の中で男の子は京當さんひとりだったが、「踊ることは楽しかった」という。13歳のとき、橘バレヱ学校に入学した。
「その頃は地元のバレエ教室に週3回、バレエ学校にも週3回通っていました。バレエ学校で同じ年くらいの男の子の友達ができて楽しかった」
15歳の頃から、バレエ団の舞台に立っていた。17歳で正式に牧阿佐美バレヱ団に入団。
「父方、母方、両方の祖父母がバレエをすることに反対していました。『将来大丈夫なのか』と。でも、両親は応援してくれていました」
京當さんは、1997年に埼玉全国舞踊コンクール・シニアの部で第3位に入賞したのをはじめ、翌年には、東京新聞主催第55回全国舞踊コンクール・ジュニアの部で、第1位、第11回こうべ全国洋舞コンクール・ジュニアの部で第3位と、立て続けに賞を受賞した。地道な努力が実を結び、「いまは祖父母が一番の応援団ですよ」と京當さん。

ドイツ留学でさらに飛躍

「世界のバレエが見たい」と、京當さんは2002年から2005年まで、ドイツのザクセン州立シアターゲルリッツに所属した。
「日本は男性の踊り手が少ないから女性に比べて優遇されることもあります。でも、欧米では自己アピールをしないと役がもらえません」。ドイツでは、10時間ほどバスで移動して本番をこなしたり、夏の夜間、野外での公演をしたことも。「レッスンはきびしく、辛いこともありましたけど、バレエが生活に溶け込んでいることを実感する貴重な経験でした」
帰国した05年に「くるみ割り人形」の王子様役で主役デビューを果たす。
「下手な踊りはできないし、まわりから『どれくらい上達したのか』と見られているし、できることもできなくなるくらいのプレッシャーを感じました。でも、同時に『なんとかなるかな』と・・・。僕は超ポジティブな性格なんです(笑い)」
06年6月には「白鳥の湖」、10月には「リーズの結婚」の主役を続けて務めた。バレヱ団代表の三谷恭三氏からは、「芸術性豊かな踊りを披露するダンスール・ノーブルを目指して欲しい」と期待されている。
「毎年行われる区の文化祭で、より多くの人にバレエを見てもらいたい。そして見に来てくれた人、全員が『今日の舞台はよかった』と言ってくれるようなダンサーになりたい」と京當さん。
3月10日、11日には、「ロメオとジュリエット」(ゆうぽうと簡易保険ホール)にパリス役(ジュリエットの婚約者)で出演する。