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No.179  能丸督之(のうまるただゆき)

今年4月に東京芸大大学院に進み、意欲的な創作活動を続ける能丸さん

受賞をステップに大学院へ現代美術で新たな挑戦

東京都が主催する現代美術の全国公募展「トーキョーワンダーウォール公募2004」で、大賞に輝いた能丸督之さん=荒川区東尾久在住=が、受賞をステップに大学院に進み、新たな作品制作に意欲を燃やしている。



東京都が主催する現代美術の全国公募展「トーキョーワンダーウォール公募2004」で大賞を受賞した作品


基本は物を客観的に見る

能丸さんが都主催の全国公募展に応募したのは、東京芸術大学美術学部絵画科4年に在学中だった昨年の春。制作はその年の2月。2週間ほど集中して描き上げた。
公募展は、若手新進作家の登竜門ともいえる。年1回作品を募り、5年目になる昨年、全国から応募のあった925点の中から能丸さんの作品が選ばれた。審査員は、石原慎太郎都知事や東京都現代美術館館長ら美術関係者たちだった。
受賞作品は、アクリル画「尽きないおねだり」。縦約1.6メートル、横約1メートルの大作。友人をモデルにして描いた作品で、Tシャツにズボン、頭にはニット帽子をかぶって、左手を広げている。体の表面には、車やパソコン、衣類から食べ物のほか、動物や昆虫まで、細かくびっしりと描かれている。自分の中にはいっぱい物があるのに、「何かくれ」と言っているポーズ。作品名どおりの主張だ。
能丸さんは大阪育ち。小さいころから絵が好きで描き続けてきたという能丸さんは大学合格を機に上京し、荒川区に住んで4年目。
「荒川の人情豊かな街や、のどかな自然に触れることのできる河川敷が好き」という。下町の情緒に染まりながら、創作活動を続けている。
「時々で作品の方向性は変わっても、ものを客観的に見るという基本は変わっていませんね。あいまいなテーマや説明できない作品は作りません」と作品づくりに取り組む自分を分析する。

絵画を動きのある映像作品に

この4月には、「油絵を中心に学部で学んだ4年間では作り足りない部分を解消したい」と、東京芸術大学大学院に進んだ。芸術への感性はさらに磨かれ、その表現方法は「絵だけにこだわらなくてもよいのではないか」という気持ちに変わってきたという。
そして今、絵を素材として独自の手法で映像化する作品に取り組み始めている。絵を原画としてパソコンに取り込み、歩いたり、跳ねたり、泳いだりする人や、走る牛など動きのある画像に仕上げる。わずか数秒の動きを表現するために、膨大な枚数の原画が必要な根気のいる作業だが「これからも、面白いと感じて、興味を持ってもらえる作品づくりを続けていきたい」と、創作への熱意を語る。
能丸さんのアートへの思いがひとつ、ひとつ積み重なり、大きく膨らんで、大賞受賞をきっかけに、今まさに、荒川に新しい芸術の芽が吹き出そうとしている。