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No.177  秋葉 生白(あきばせいはく)

「私は、長い歴史を持ち、飽きがこない隷書や楷書が好きですが、書家としては、現代の空間や生活の中に溶け込む書、若い人たちにも受け入れられる書をつくり出すことが課題ですね」と秋葉さん。

テーマに即し多彩に変化する表現、心を映す墨文字

「誠」の名のもとに集い戦う若者達の青春群像を描いた「新撰組」、天才軍師として平家を滅ぼした立て役者「義経」。この大河ドラマを紹介するNHKの番組ガイド「ステラ」の表紙を、勇壮な写真と共に飾る墨文字を書き下ろしているのが、荒川区西日暮里在住の書家・秋葉生白さんだ。



昨年11月に開催された「秋光書会展」には、「池田屋」をはじめ、ステラに掲載された作品の数々も展示された。


大切なのは精神の修養

繊維関係の商家に生まれた秋葉さんは地元道灌山中学校を卒業後、森村学園、成城大学へ進学し、江戸文化史を専攻する。
「書の道に入るきっかけは、小学校の時。荒川区の書道展で銀賞を受賞したこと(笑い)。家業とはまったく関係がなかったのですが、上野の美術館が近いこともあり、子供のころから美しいものを見ることが好きでした」。その後、本格的に書道の先生について、臨書から古典を学び、高校生になるころには公募展に次々と入選。
「大学生のころはよく京都へ出かけました。古いものが好き。特に焼物や器が好きで料理の道に入ろうと思ったことも」と語る。大学卒業後は、一方で学習塾の経営を手がけながら書の道に精進した。老舗の画廊や、"壺中居"といった日本を代表する古美術店とも親しく、書の分野だけに限らず絵画、陶芸、工芸などの芸術的分野はもとより、料理や茶道などさまざまな分野の人と交流を重ね、独特の芸術感に磨きをかけた。自分独自の感性が光る、テーマに即した作品の数々は各界の一流文化人の間でも高い評価を得ている。



ステラ(NHKサービスセンター発行)1月14日号に掲載された「義経」も秋葉さんの書


諏訪神社へ書を奉納

私にとって書とは、自分の個性を表現すること、感情移入なのです」と秋葉さん。
では、書にとって一番大切なものは?
「精神の修養だと思います。明治の人たちの書を見ると、例えば勝海舟にしろ山岡鉄舟にしろ、精神の骨格の太さ、胆力を感じます。禅宗の高僧が残した書も精神の高さがにじみ出ている。私の好きな横山大観も、人間ができて初めて絵が描けると言っていますが、書も同じ。また同時に絵画、彫刻、音楽などの名作に触れ見聞を広めることが大切。私の美意識は子どものころから培われたもの」と、書の奥深さを語る。
さらに「これからは地元荒川区に対しても何がしか文化的貢献ができれば・・・」と意欲的に活動を続ける秋葉さんは、昨年12月、日暮里・谷中の総鎮守である諏訪神社創建800年を記念して「神威」の書を奉納した。
現在は「秋光書道会」を主宰、定期的に銀座・松崎画廊で展覧会を開催。今秋には、人間国宝クラスの精鋭とともに、名門"日本美術倶楽部"のアートフェアにも作品を出品することが決まっている。
さらに自宅では週4日、初心者も含めて秋葉さんが直接指導する書道教室(電話 3800-0759)も開いている。