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No.171  佐々木あい子(ささきあいこ)

「少子化時代といわれている今だからこそ子どもを育む子ども会活動が必要なのです」と語る佐々木さん

佐々木あい子さん <東京都子ども会連合会理事長>

都内各区市の子ども会の連合体である「東京都子ども会連合会」の理事長をつとめる佐々木あい子さんは、今年76歳とは思えない若々しいいでたちで、意欲的に毎日の忙しいスケジュールをこなす。少子化、犯罪の低年齢化など、子どもを取りまく問題が顕著な昨今、地域社会を核として子ども会を組織し、青少年育成に尽力する佐々木さんだが、「明日は全国子ども会育成中央大会へ参加するために兵庫まで出かけます」と、その活動範囲は全国に及ぶ。

家業を切り盛りしながら子ども会活動に参加

父親の実家である宮城県白石市で生まれた佐々木さんは、家族とともに上京、荒川区日暮里で育った。瀧野川女子学園を経て都立教員保姆(ぼ)伝習所を卒業。当時は「小学校の先生になるつもりだった」と言う。しかし結婚後、ご主人の水道工事業を手伝うことになり、給水設備士試験を受験し見事合格。女性では、荒川区で初めて、東京都でも2人目という快挙だった。技術者としてご主人とともに会社を切り盛りし、子育てにおわれる佐々木さんが子ども会活動に参加するきっかけとなったのは、昭和35年に荒川区青少年委員の委嘱を受けたことだった。
佐々木さんは、子どもたちとふれあう楽しさを感じる一方で「当時の社会教育に携わる先駆者の先生方にお会いすることができ、本当にたくさんのことを教えていただきました。私も子どもの頃、ご近所の方みなさんにお世話になって育ちました。結婚後は4人の子どもを授かりましたが、その内2人を亡くして、人の子もわが子も同じだと、よけいに活動にのめり込むことになったのです」
北海道十勝にて、子どもたちと共に記念植樹をする佐々木さん

核家族だからこそ、世代を超えた縦のつながりを大切に

その後、西尾久五丁目母の会会長や荒川区少年団体指導者連絡会会長を歴任した佐々木さんは「今の子どもはなかなか集団遊びができないのね。本来子どもは自分より小さな子どもの世話をやくことが好きだし、身近に手本となる上級生がいて、はじめてあんなふうになりたいと思うもの」と地域の子ども会の大切さを語る。
子育てで大切なことは「まず大人が、子どもの手本になれるようにがんばらなくちゃ。日常生活が一番大事です。きちんとあいさつをする。他人の子もわが子も同じように誉めて、叱る。目上の人を敬う。私は子ども会で、いろいろな子どもたちと接することで、自分の子どもを客観的に見られるようになったの。だから、ぜひ親子で子ども会に参加してほしい。子どもから教えられることもいっぱいあるんです」

教育の原点は、人と人とのつながりを学ぶこと

佐々木さんがさまざまな活動をしてきた中でとりわけ印象深かったのは、東京都教育委員会の依託を受けて行った北海道十勝での農業体験「少年団体リーダー交流事業」だとか。都会の中で育った子どもたちが、農家の人たちといっしょに土に触れ、自然を感じてたくましく成長していく姿を目の当たりにしたという。
「佐々木さんの精力的な活動の源は?」との質問には「私一人の力は限りがありますが、子ども会活動の中から巣立っていった人たちが、社会に出てリーダーとして活躍して、私のできないことをやってくれる。子どもたちが成長していく姿を見るのが何よりもうれしいです」との答えが返ってきた。
東京都生涯学習文化財団評議委員、TOKYOファミリー体験広場実行委員長などを兼任する佐々木さんの活動は、そのほとんどがボランティアである。社会教育活動家としての功績が認められ、平成15年春には勲五等端宝章を受賞している。